Yuya

ザ・スクエア 思いやりの聖域のYuyaのレビュー・感想・評価

3.7
言うなれば Definitely Maybe…
悩みを解決してくれるどころか
こんなにも悩まされる映画って どこまでいじわるなんだよ もうっ!
観終わってから 確実に生きづらくなった気がすんだけど…

大味から隠し味まで ありとあらゆる技巧を使って 人の悪意を…いや人の善意の裏の悪意を ちまちま ちまちま炙ってゆく
仮にこれが料理ならば さぞ絶品とも思える
手の込んだ 作品だったなぁ

時に女の部屋だったり 時に晩餐の席の余興だったり あからさまなサルの取り上げ方で “サルにも描ける”現代アートを皮肉ったり 不自然に耳をつんざく騒音や 会議中の赤子の泣き声でもって 非常識と不寛容の応酬を彷彿させたりと
現代社会における非難や分断を発起する 小さな摩擦や火種が そこかしこに配置されていて 一秒たりとも機嫌よく鑑賞させてもらえない
まぁ そこんトコロこそが 我々が生きる世界そのものなんだろうけどさ

わかってますよ 言われなくても ちゃんとね
自分だ 自我だ 自論だなんだ 大義や正義を主張したところで
人や社会や時間に流されない人間なんていないわけで
その流れの中で ギリッギリ足を川底に突き刺して 拡げた両手の直径の範囲で なんとか常識や良識なんてものの 輪郭くらいを築いてるっつー そんな小さい人間ですわ

けどさ 定義って 一体どこで生まれて いつまで留めておけるものなのか
いや そもそも 何の為の定義なのか…
そんな事 いちいち考えてたら もう今夜すぐにでも不眠症人生のスタートだっつーの
コンドームの処理でケンカしねーで 裸のまんま一緒に寝とけば いーじゃん

カンヌでは これに続いて翌年が『万引き家族』かぁ それはそれで面白い
コンペティションを コンディションする意味では 良い結果なのかもね
Yuya

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