Makiko

女であることのMakikoのレビュー・感想・評価

女であること(1958年製作の映画)
3.4
川端康成の作品をよく知らないのでどう受け止めればいいのかわからなかった部分もあるけど、始まり方が最高だった割に終わり方が微妙だったというのが正直な感想。
個人的な感覚としてバイセクシュアリティが奇癖みたいに描かれていたような気がするので、素直に飲み込めなかったのかな。それが川端文学の特徴と言われてしまったらそれまでなのだけど。

序盤でいきなり戦闘機が飛んできたかと思えば、中盤の夫婦喧嘩の場面ではジャンプショットのように時間と場所が飛び飛びになっている一方でダイアログが何事もなさげに続いていたり、ダンスホールのシーンでは今ものすごいローアングルかと思ったら次のショットではカメラが真上にいたりして、かなり映像が攻めていた。
丸山明宏だった頃の三輪さんが歌う主題歌も素敵。ただ劇中でBGMとして使われてたのは野暮ったかった。

原節子がたいへん艶かしくてたまげた。ファーストショットの寝起き姿とかヤバすぎる。『山の音』に引き続き川端先生の描く世界(結局、見た目が綺麗な人は優しくされるんでしょう?系の)との相性がいいらしい。
個人的には戦後の時期の娘役よりも30代半ばを超えてからの着物メインの役の方が好きだ。特に素敵なのが髪型!成瀬映画で見るようなパーマ+アップ+後れ毛のコンビネーションで、「女」の滲み出る人妻の雰囲気がうまく出ているからだと思う。

久我美子はどう見てもオードリー・ヘプバーンのスタイルを意識してるのに、オードリーのキャラクター(映画内/外共に)と対極にあるような女の子を演じているギャップが面白かった。
「小母さまに会う日は綺麗な体(=生理が終わってから)でいたくって!」「あら私だって女だから気にすることないのに」みたいな会話とかが、勝手なイメージながら川端さんって感じ。

突然のキスシーンもさながら、女×女映画お決まりの鏡台の前で髪をとかしてあげるアレにニヤリ。
久我さんも香川さんも原節子の大ファンだったらしいから、撮影現場どんなテンションだったのか想像すると面白い。

やっぱり女と女の映画は男のキャラクターのことを忘れてしまうな。多分いずれもう一回観る。
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