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日曜日の散歩者 わすれられた台湾詩人たちのUKのレビュー・感想・評価

3.9
朗読される書簡・日記 (?)・詩論・詩と、次々と映し出される台湾 / 東京の風景・新聞記事・同人誌 / 詩集 (時々小説)・絵画・シュール映像、そして現代音楽色の強いBGMと神経を逆なでするようなサウンドコラージュ (サントラがあれば欲しいくらいだ) ……始めはそのイメージの氾濫に戸惑ったのだけれども、流れに逆らわず身を任せることにしたら内容がスルスルと入ってきた。
また、朗読は日本語を母語としない人物によるものだから微妙な違和感があるのだけれども、それがかえって外から日本語を見つめる感覚に繋がって刺激的だった。「詩」を「死」のイントネーションで発音しており、それで一瞬意味が通るように錯覚してしまう箇所があった時はドキッとしたものだ。

文学について、純粋な表現について考え続けた人物がいたというその事実だけで自分にとっては励みになるが、同時にそのような人物が占領 / 戦争によって日本と台湾の間で引き裂かれてしまったという事実はあまりにも重くのしかかる。
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