なかよし

希望のかなたのなかよしのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.3
ヨーロッパにおける難民問題は喫緊の課題であり、日本にいるとそのことを肌身を持って感じることは少ない。
北欧における無心論者、無宗教であるとの宣言は適応の印であることなどへの言及と、それでも許されない無常さはやはり日本人には理解出来ず、せめて知識だけは持とうと思う。
ヘルシンキに辿り着き久々に兄との再会を果たした妹の目は、「この地には希望があるのか」というような虚ろな目に見えたが、やはり理解することはできない。

カーリドとヴィクストロムの、出会いから受け入れるまで、カーリドが襲われそうになり助けてくれた障碍者とのその後など、普通なら描いてしまうであろう、描きたいであろう箇所の大幅で大胆な省略がカウリスマキ映画たる理由だと思う。

久しぶりにパンフレットを購入。


アラブの春以来、内戦が生じた北アフリカや中東各国で難民が発生しヨーロッパに流入する人々が激増している。紛争が深刻なシリアからの難民は増え続け、2015年にはアフガン、ソマリアのそれを含めると100万人を超え、それに対し大量の庇護申請者を抱えることを恐れた、イタリア、ギリシア、ハンガリーでは本来行われるべき登録を行わず、難民が他国へ通過するのを黙認した。これによりシェンゲン情報システムなどが効率的に機能しなくなる状況に陥っている。この為に、難民の受け入れに比較的寛容な各国で国境での審査が再導入されることとなり、移動の自由というEUの基本理念が揺るいでいる。そして難民問題がEU史上最大の危機とみなされるようになった。。
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