Eike

ビッグのEikeのレビュー・感想・評価

ビッグ(1988年製作の映画)
3.9
米国製「入れ替わりテーマ」の映画としては絶対に外せない一本。

とは言え正確に言うと12歳の少年、ジョシュが軽い気持ちでかけた願いがかなってしまってその結果、心はそのままに体だけ「大人」になってしまうという「ファンタジック・コメディ」という訳で厳密に言えば本人のままな訳で「入れ替わり」とは言えないのかな…。

見かけが大人になってしまったジョシュは家にいられずNYの街に飛び出したものの子供の彼に大都会は甘くない。
そんなある日、大型玩具店で大好きなおもちゃで遊んで寂しさを紛らわしている時にある人物と出会ったことをきっかけにジョシュの冒険が始まるのですが…。

1988年の作品ですからもう30年も経ってしまいましたが、いつの時代でも興味惹かれる「入れ替わりテーマ」の快作として今でも十分楽しめます。
何といってもT・ハンクスがハマり役。元々の素地であるコメディセンスと本格演技をバランスよく披露できるこの役で演技派としても大きく注目を集めることとなりました。

ハマっているのも当然で元々ハンクス氏を念頭に当て書きされた脚本だったのです。ただ、スケジュールの都合で一時はデ・ニーロさんにお鉢が回りかけていたそうです。
紆余曲折を経たものの、結局ハンクス氏が登板することになって見事な大ヒット。
ちなみに監督は12歳の子役に大人になったハンクス氏の役をそのまま演じてもらったビデオを予め渡してトム君はその子の癖や身振り等を学習してから本番に臨んだそうです。

監督のペニー・マーシャルは当時はTVの大女優だったわけですが本作は女性監督のメジャー映画として初の大ヒット作となりました。
そしてそれはその後のノーラ・エフロンの「めぐり逢えたら」や「恋愛適齢期」のナンシー・マイヤーズへとバトンを受け渡すことに繋がったわけで、その意味でも本作の功績は大きい。
子供の心を持った「大人」の経験を通じた「冒険談」ですがコメディでありながらもほろ苦さとファンタジーを併せ持った快作で、大人のための寓話として秀逸です。

今やトム・ハンクスと言えばすっかり「名優」扱いで、若い世代の方々にはコメディ俳優としてのハンクス氏はあまり馴染みがないのか、本作もあまり知られていないようです。
本作と「スプラッシュ」そして個人的には一番好きな「恋のじゃま者」(その監督ゲイリー・マーシャルは本作の監督であるペニー・マーシャルの兄です)も絶対おススメしたいところであります。
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