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ホールド・ザ・ダーク そこにある闇のmのネタバレレビュー・内容・結末

4.7

このレビューはネタバレを含みます

「ブルー・リベンジ」や「グリーン・ルーム」といった緊迫感溢れる『暴力についての映画』(なんとなく『暴力映画』とは違う感じがする)を撮ってきたジェレミー・ソルニエ監督の最新作はNetflixオリジナル映画。
あの独特の感覚の暴力描写は今回も健在で、突拍子も無いタイミングで暴発する生々しい暴力はやはり切れ味鋭い。

これまでの作品における登場人物達を逃れられない運命に導いていく歯車のような暴力とは異なり、今回は人間の世界とは離れた凍えた地の野生の倫理としての絶対的な暴力。「ウインド・リバー」を想起したりもする。

登場してすぐのレイプする米兵を刺しトドメは女性に委ねる場面で、アレクサンダー・スカルスガルドが独自の倫理観に基づき行動する人間であると素早く明示される。絶対的な暴力装置として映画の中で動き回る彼だが、とはいえアントン・シガーのような非生物的な感じとはまた少し違っていて、そこに興味を惹かれた。

一方でアレクサンダー以上に死体の山を築くネイティブ・アメリカンの男性の存在がやっぱり「ウインド・リバー」的。彼にはもう少し感情が感じられて、また違うタイプの暴力が顔を見せる。

そしてもう1人の暴力を振るう存在であるライリー・キーオの、深く深く何かを諦めたような佇まいが心に残る。

ジェフリー・ライト、アレクサンダー、ライリーのメイン3人から、今回も脇で良い仕事をするジェームズ・バッジ・デールや先述のネイティブ・アメリカンの男性といった脇役まで、隅々まで俳優陣が皆素晴らしい。


野生の愛情というか人間臭い矛盾した愛情というか、一般的には理解する事のできない愛情の形を見せるアレクサンダーとライリーのラストが印象深い。
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