都部

映画ドラえもん のび太の宝島の都部のレビュー・感想・評価

3.1
現代を舞台に航海を趣とした冒険を繰り広げるという切り出しは面白く、それはごっこ遊び的ではあるのだが、そうした遊びに伴う胸の高揚をのび太達の感動と併せて体感させる語りはドラえもんならではの味。

また島の上陸により宝探しが始まるのかと思えば、実はそれが島を模した科学の英智としての船であることが発覚して、そこからしずかの誘拐と謎の少年との合流が物語の先を読ませない捻りになっているのも面白い。島内/島外の視点で物語を平行して進めることで情報の交通整理が滑らかになり、やがて物語の本題に移行する流れも違和感を覚えなかった。

しかしながら本題は敵役の出で立ちやその言動とは一致しないもので、ただ宝島に寄せる為だけにビジュアルを設定したようなキャラクター達の言動また宝物の真相があっさりと上滑りしている。島の正体の発覚からテンポ感を損ねたわけではないが、内的事情と規模感の大きい計画 そのどちらもがそれまでの分着から外れているという点は否めない。

のび太は物語終盤に親子の重要性を説くが、喧嘩別れして家を飛び出した彼がそれを口にするのは どの口がという気持ちは拭えないし、それに対する自分自身の事情を重ねての葛藤の描写が一切ないので唐突に挟まれた台詞──脚本で必要だからと、キャラクターが言わされていると感じる台詞の応酬が終盤になって雪崩込んでくる不細工さは気に食わなかった。
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