山田

累 かさねの山田のネタバレレビュー・内容・結末

累 かさね(2018年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

最後まで土屋太鳳ちゃんの演技が圧巻だった、というのが素直な感想です。

演技がズブの素人並みに下手なニナ、ニナの顔を奪って役にのめり込む累、そしてサロメにのまれる累。全く異なる演技をこなす太鳳ちゃんに鳥肌が立った。

特に最後のサロメの演技は恐怖を覚えるほど。踊りのシーンなんかは、土屋太鳳じゃなきゃ出来ないシーンだなと思いました。体幹とか表現力的に。


逆に、本当の累を演じた芳根京子ちゃんはちょっと弱かったかな。顔が交互に出てくる最後のセリフのところは、「ああ、全部太鳳ちゃんの演技で観たかったな」とつい思ってしまうほど、土屋太鳳に魅了されていた。芳根ちゃんはあんまり滑舌が良くないのと声が細いのがちょっと気になった…
累としては卑屈な感じが出て悪くないけど、やっぱり最後のシーンではちょっと……。

入れ替わるのは「顔」だけだったはずなので、最後のシーンで顔が交互になるときに、同じくらいの熱量とか声量とか…がないとちょっと…と感じました。
もちろん別人がやってるんだから完璧なんて無理なんだけどね。気になることを挙げるとすればそれくらいでした。


脇を固める浅野忠信さん、檀れいさんはもう文句なしのクズさ、美しさで流石だなぁと思いました。存在感がすごい。
ただ浅野さんの役が、何をしたかったのかがイマイチわからなかったかな。終始目的と動機がふわっとしてた。
累の母親を敬愛していたのは伝わってきたけど、再びモンスターを生み出して、何がしたかったんだろうか…。
原作とはまた違った描き方だと聞いたので、原作も読んでみようかな。


「美醜というより劣等感と優越感、それとどう向き合うか、付き合っていくか」という話だと聞いていたけど、どの辺が一番大事な、見せたいシーンなんだろう?と疑問に思いました。最後のシーン?サロメになる累?屋上での2人のやりとり?
屋上のシーンでは、ニナが見せる劣等感に打ち勝つ強さというものを前半のニナからはあまり感じられなかったから、そこはちょっとビックリしました…。そんなにニナちゃん強かったかな?結果としては中身まで醜く(?)なってしまった累が勝つ(?)のだけれど。
累と母親のやりとりも、累の気持ちや考えがよくわからなかったので、肝が掴めなかった、という印象です。私の理解力の問題かもですが。


土屋太鳳ちゃんの演技がすごかった!という点ではめちゃくちゃ評価できますが、テーマをあまり強く感じられなかったので評価はちょっと低めにしました。
土屋太鳳ちゃんあっぱれ!
山田

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