かたゆき

ミスター・ノーバディのかたゆきのレビュー・感想・評価

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)
2.5
西暦2092年2月9日、人類最後の死ぬ運命にある人間“ミスター・ノーバディ(誰でもない男)”が118歳に――。
科学技術の飛躍的な進歩により、全人類がそれまでの悲劇に満ちた〝死〟という宿命から解放された未来社会。
そこでは誰もが当然のように永遠の命を享受していた。
そんな科学技術の恩恵を受けることなくたった今老衰で死のうとしている、ある老人がいる。
彼の名はニモ・ノーバディ。
これまでの人生は一切謎に包まれていた。
そんな彼の歩んできた人生を探るため、医師からの高度な催眠術と記者によるインタビューが行われる。
そこで明らかとなったのは、〝人生の重要な岐路で色んな選択をしたこと、あるいは選択しなかったこと〟で様々に枝分かれしていった、彼の重層的で複雑な人生経験だった……。

これまでにない独創的な映像で描かれるのは、そんな一人の男のあり得たであろう数々の人生を重層的に描き出すパラレルワールドSF作品でありました。
9歳の時、ニモはまず離婚した両親のどちらに付いていくかという重大な選択を迫られます。
母に付いていった彼と、父の元に残った彼、当然のようにどちらの人生にも良い所もあれば悪い部分もある。
さらには同級生の誘いを受けるか断るか、好きな女の子に勇気を出してラブレターを渡すか諦めるか…。
そのようにして十数通りもの彼の人生がまるで群像劇のように描かれるさまは、まるで昔懐かしのゲームブックを読んでいるような感覚でした(途中で間違った選択をしたら殺し屋に殺されたり、事故に遭って植物人間になっちゃったりというバッドエンドを迎えちゃうトコなんかいかにもゲームブック!)。

ただ、1本の映画として観るとどうなんですかね、これ。
さすがにちょっと設定に無理あり過ぎやしません?物語として思いっ切り破綻しているように僕は思うんですけど。
『エターナル・サンシャイン』や『バタフライ・エフェクト』という優れた作品の良いトコどりしようとかなりの大風呂敷を拡げてみたものの、上手く纏め切れなかったような印象を持ってしまいました(だって、あの強引な力技ラストなんて夢オチとあんま変わんないよ~)。

確かに、唯一無二の独創的な世界観を見事に構築した作品であることは認めますけど、肝心のお話の方には僕はさっぱり嵌まれませんでした。
うーん、星2.5。ごめんちゃい!!
かたゆき

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