Laura

桜桃の味のLauraのレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
4.0
「人生には生きる価値がある」という普遍的で、手垢がついているようにもおもえるメッセージーー映画全体がそこに収斂してしまいそうな地点からスッと身をひるがえすラストの鮮やかさ。夕陽に溶け込む中東の街並みをとらえたロングショットの美しさにくらべれば、最後に主人公がどう決断したかという部分は蛇足でしかない。作り手はきっと、絵でお涙頂戴の物語を語る紙芝居には安易に堕ちない。自殺を企図するに至った主人公の心情を、イランの複雑な政治情勢を含めて読み込むには何度か見返す必要がありそうだ。
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