しばいぬたろう

クワイエット・プレイスのしばいぬたろうのネタバレレビュー・内容・結末

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

『クワイエット・プレイス』('18)
A Quiet Place / アメリカ合衆国 / 英語

登場人物は四人のみで、死んでしまった息子と途中でおじいさんが出てくるだけ。
全編に渡って台詞もほとんどなく、出演者の演技力がかなり重要な作品となっている。
子役二人も良かったが、エミリー・ブラントは素晴らしい演技を披露する。


音を鳴らすと死ぬ―――。
聴覚が発達した地球外生命体の襲撃により、人類は滅亡の危機にさらされていた。

文明崩壊後も家族五人で生き延びるアボット一家は、ある日の物資調達の帰り道に、不注意によって末の子供を亡くしてしまう。
それから一年が経ち、アボット一家の母親は臨月を迎えていた。
反抗期真っ盛りの姉と怖がりな弟を抱えながらも着々と出産準備が進み、出産予定日が近づくある日、怪物たちに一家の住居が襲撃されるのだった。


全体的に『サイン』と似たような作品で、あまり新鮮さを感じなかった。
しかし、『サイン』とは違ってコメディ要素は一切なく、サスペンス・ホラー一直線に作っている。
また、音を立ててはいけない作品ということで、鑑賞者側も息をのんでしまうシーンがあり、主人公たちと同じような状況に置かれたと錯覚してしまう物語展開や設定が良かった。
そのため、かなりハラハラさせられた。
 
怪物の造形も「ヴェノム」みたいで、やはり新鮮味に欠けてしまう。
全体的に既視感に溢れており、個人的には新感覚ホラー作品ではなかった。

何より、音を立ててはいけない世の中で子供を妊娠してしまうという無計画さが際立っていた気がする。
もし自分なら、音楽家やYou Tuberなどの家の防音室を借りるだろう。
それもなしに、うっかり音漏れしかねない揺り籠とか、あまりにも無計画に感じた。
赤ちゃんは泣くのが仕事なのに。
本作のテーマは「ホラーな状況で、子を守る親の物語」ということらしいが、その逆のことばかりをやっている気がする。

ラストも微妙で、むしろ何故今までそれを試してこなかったのかが謎。
音に敏感ならモスキート音や超音波がいけるかもとか思わないのだろうか。
ラストの展開を見ると、父親は意味もなく死んでしまったようにも思える。

割と突っ込みどころは満載だが、終始息を止めてしまうような緊迫感は良かったと思う。
それ以外は特に目新しいものはなかった。
しばいぬたろう

しばいぬたろう