無知A

クワイエット・プレイスの無知Aのレビュー・感想・評価

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
3.3
ホラー映画としても面白いのかもしれないが、個人的にはホームドラマとしての魅力が勝った。音を発すれば化け物に襲われて即死という、音の制限を余儀なくされた、静かな世界で紡がれる家族愛には心を揺さぶられた。これは先日、『コーダ あいのうた』を見た時にも感じた事なのだが、音以外を用いて表現する言葉やイメージというのは、また異なる深みがある。音によって縛られない分、より感情が強く出るのか、今作でも良さが顕著に現れていた。

たが、物語の全体を通して考えると、物足りなさを感じる内容だった。終盤の戦いには緊迫感があり、オチも解釈の幅があって素晴らしいが、よくよく考えると内容はシンプルだと感じた。なので、先が読めてしまうと同時に、見ていて驚く要素はそこまでなかったように思う。決して、この作品が悪いというわけではないのだが、どうしても他の作品と比較した時に、頭一つ抜ける要素があまり見当たらなかった。

総じて、部分部分で面白いなと感じるシーンは 多いが、世界観に対して物語のスケールが小さい印象だった。敵の生態や出自は勿論のこと、主人公達がどのような人物なのか、何を目指しているのか。根本的に情報が少ないので、心に響くものはあっても、深くには刺さらなかった。とはいえ、映像美は素晴らしいと感じた。


(内訳)
面白さ 3.2
学び 3.4
構造 3.3
無知A

無知A