無知A

マイスモールランドの無知Aのレビュー・感想・評価

マイスモールランド(2022年製作の映画)
3.8
生まれた国の状況やそれを取り巻く要素、環境によって、過酷な道を余儀なくされる主人公。彼女の恋愛や夢は、過酷であるが故に、まさに青春だった。そして、辛い状況の中でも、ぶつかり合いつつも、励まし合い笑い合う家族ドラマもまた印象的だった。正直、この作品はテーマだけでも見る価値が非常にあるが、内容も非の打ち所がなかった。

難民問題というと、様々な観点から多様な意見が交わされているが、作中の話もまたリアルな問題である。難民として認定されなかった人々の帰る先や、彼らの生活。帰すや保護するという言葉だけでは、見えない悲劇。これらを目の当たりにすると、文化や思想ががどうだと、簡単に割り切れない。

総じて、今作はテーマと内容のどちらもが、重厚な作品だった。主人公、サーリャが持つ思春期ならではの葛藤と、そこに被さるクルド人の文化と状況が、深く呼応しており印象深かった。


(内訳)
面白さ 3.9
学び 3.8
構造 3.7
無知A

無知A