このレビューはネタバレを含みます
シチュエーションもの。
ただ、一般的なシチュエーションスリラーに当てはめて観ると「期待外れ」もしくは「思ったのと違った」みたいな感想になると思う。
ミッションに失敗し、地雷を踏んだことでその場から動けなくなる……という設定はあれど、基本は主人公の葛藤と戦い、諦念を描いた作品。
極限状態の中で、現実と幻覚の境界線が曖昧になっていく描写が天才的に素晴らしい。
幻覚に対しても変に一方的にご都合主義にならず、ちゃんと辻褄合わせをしている。
最後、父親(幻覚)が出てきて、それが必ずしも悪人っぽくなかったのは、
子どものころは一方的に恨むだけで、「あのようにはならない」「ああなっているかもしれない」と、良くも悪くも父親の影に苦しめられていたけれど、大人になることで、本人にしかわからないつらさがあったんだろうと察したからかもしれない(だからといって暴力は厳禁だが)。
「7%か。悪くない」
めちゃくちゃ良い言葉。
これを「7%しかない」と思うのか「7%もある」と思うのかみたいな。
あの回想?幻覚?の中で、カチッと音がしたのは、本人なりに「ここが変わるポイントだ」と自覚があるスイッチだったんじゃないかなと思う。
自分だったら……も考えてしまうな。普通に強すぎる。
あと、ラスト、恋人に跪くのが地雷を踏んでいたときのポーズでエモい。地雷から生還してプロポーズ。
個人的には、かなり好きな話でした。