パン

イナゴの日のパンのレビュー・感想・評価

イナゴの日(1975年製作の映画)
4.0
まるで夢の中のような独特な画質でマルホランドドライブに少し似てる。
この映画、ジャンルとしてはデカダンスになるだろうか。

いや~それにしても集団心理とは恐ろしい!
何かがきっかけで抑制を失い(直接関係のないようなきっかけでも)人はどこまでも壊れていく。
まさにイナゴの日。イナゴの大群が襲い掛かってくるかのようだ。

この映画の時代である1938年は世界恐慌から時間は経ってるもののまだまだ人々は貧乏で世の中も不景気だった。
民衆たちは一見普通に生活してるが内なる怒りを抱えてる。
そんな彼らの静かな怒りが爆発するのは時間の問題だったというわけだ。
まさに地獄絵図。

少年が蹴り殺されたシーンもショッキングだったが民衆が犯人をリンチして丸く収まると思ったら今度は暴動が起こった。
怒りのきっかけ、暴れる理由なんて何でも良くて一度衝動に火がついたら止まらなくなる。

これ日本人も歴史的な事件なんかで心当たりあるんじゃないかな。
関東大震災の虐殺とかもね。

真夜中のカーボーイの監督だが作風は全然違うと思う。
でもどちらとも凄い映画だった。
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