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トップガン マーヴェリックのKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

トムクルーズマラソン!
そう、僕はトムが大好きなのです。ひたすら作品にひたむきな姿勢には本当に頭が下がるばかり。『7月4日に生まれて』のレビューで少し触れましたが、とにかく役作り、そして映画製作に関して真摯なんですよ。
御多分に洩れず『トップガン マーヴェリック』もそのひとつ。訓練・戦闘シーンの迫力にただただ圧倒されました。特にマーヴェリックが作戦の可能性を示すために自ら搭乗するシーンの気迫は、クライマックスの戦闘シーン以上だったと思います。これはひとえにそのリアリティに起因します。どうやらF-18や架空の極超音速機は、軍の規定やトム自身の保険、スキルを勘案して、実際には海軍のパイロットが操縦桿を握り、トムは後部座席に搭乗していたようです[1]。しかし、ただ座ってるだけでは済みません。パイロットにかかる10G近い力、600ノットを超える速度そのものを表現するために、トムをはじめとするキャストは相当の訓練を重ねたはずです。そのおかげであの映像が撮れたわけです!いや〜、プロ根性見せつけられてますわ。間も無く還暦を迎える年齢でもまだまだ第一線で“戦い“続けるトムに触発されずにはいられないッ![2]

また、今回の男泣きポイントは36年背負ってきた親友への贖罪。グースの死に対する強い自責の念があるからこそ、彼は自ら操縦桿を握り、空を飛び続けた。マーヴェリックが一匹狼なのは元からでしょうか?いや、これもそれだけではない。「息子をパイロットにさせないでほしい。」というグースの妻が残した言葉がさらに彼を縛り付ける。彼に仮想的な“父親“としての役割を持たせつつ、彼が今まで所帯を持たず軍役に就き続けた理由にもなっている。さらにこの作戦を率いる教官という中間管理職の苦悩も付き纏う。こういった多層的な要素が折り重なって物語に深みをもたらしている。

ここでトム・クルーズの経歴を振り返りたくなっちゃうのがトムファン。
『エンドレス・ラブ(’81)』でデビューした5年後に『トップガン(’86)』で一気にスター街道へ。個人的にはその間の『卒業白書(’83)』がターニングポイントだと思っている。ここで示した彼の演技力、そしてエネルギーが映画関係者、観客を魅了した。80年代後半から90年代前半にかけては『7月4日に生まれて』『ア・フュー・グッドメン』『ザ・エージェント』で所謂演技派の側面を強く印象付けた。90年代後半以降はみんな知ったるトム街道。『M:I』シリーズを皮切りにアクション、SF、コメディと幅広いジャンルを席巻している。
さて、ここで考えたいのは彼の役柄。いったい彼はいつから管理職に、そして父になったのだろう。一番初めに父親を演じたのは『マイノリティ・リポート』か。しかしこれより『宇宙戦争』の方が“父親“像がより明確に描かれていた印象だ。現在公開されている彼が出演した作品は44本。そのうち“父親“をしていたのはたったの数本。60歳を目前にしてトム・クルーズのイメージ像が「エネルギッシュで、タフで、少し生意気で反骨な青年」から「人生で最も脂が乗った時期に、信念を持って何かを成し遂げようとする男」、そして「様々な経験を味わった末の苦悩と余裕を備えた大人」へと変化していくのが見てとれる。それこそ『トップガン マーヴェリック』はターニングポイントに成り得る作品かもしれない。う〜ん、これが一人の役者を追いかける醍醐味ですね!

作品に話を戻すと、主題でなかったとはいえ、チームビルディングの描写は「ビーチでアメフトしたら団結してました」となかなかにお粗末。ここら辺はもう少しどうにかできなかったものか。ま、子供世代をメインに観る人なんてほぼいないだろうから、ターゲティングとしては間違ってないのだけれど。
トムのお目見えをあまり焦らさなかったのも賛否両論あるかも。でもすぐに"Danger Zone"でマッハの世界にぶち上がれるからいいのかな。

クライマックスは「あ、ダニエルボンドみたいなオチになっちゃう?汗」と一瞬不安になるものの、「いやいやゆーてトムは不死身だろ」と思わせてくれるのがトムのスーパースターっぷりを最も表しているのかもしれない笑

みんな大好きトム走りも健在。雪の中を駆け抜けるトムを拝むことができますぜ。


(TOHOシネマズ新宿 IMAXレーザーにて鑑賞)

参照
[1] COOPER HOOD, How Much Of Top Gun 2 Is Real & How Much Is CGI, SCREEN RANT, https://screenrant.com/how-much-of-top-gun-maverick-is-real-cgi/
[2] 中谷直登, 『トップガン マーヴェリック』ファンが求める続編ができた理由とは? ─ 伝説のプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマー対面インタビュー, THE RIVER, https://theriver.jp/topgun-maverick-jerry-interview/
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