へちまびと

トップガン マーヴェリックのへちまびとのレビュー・感想・評価

4.4
どうせならということでMX4Dで見てきた。字幕がよかったが、吹替しかなかったのでそちらで鑑賞。
よく考えたら英語わからんし、話に集中できたので、吹替で正解だったかもしれない。

泣かせるシーンはほぼないはずなのだが、終始目頭を熱くして見た。

今作に限らず、最近のトム・クルーズがやろうとしていることは、時代の荒波に対し槍を向けるドン・キホーテのような哀しさ、滑稽さがある。

おそらくトム・クルーズは「純粋な意味での続編」ではなく、「おれの思うマーヴェリック」を描きたかったのだ。

それを、現代の表現環境で実現するため、かなり際どいラインを攻め、かつ成功している。

映画の中のマーヴェリックがやっていることは、トム・クルーズが現実の世界でやっていることの寓話になっていると思う。

批判まみれの現代において、まっすぐに「かっこいい」ヒーローを続けることは難しい。滑稽ですらある。

しかしトム・クルーズは、それでも己の思う、少しばかり時代遅れの「かっこいい」を逃げずに表現した。

その姿勢が美しくて、胸を打つ。終始涙が出てきたのはそういうせいかもしれない。