ニャーすけ

トップガン マーヴェリックのニャーすけのレビュー・感想・評価

4.1
今更初めて観たけど、数ある続編映画の中でもここまで完璧なものは珍しい。去年のアカデミー賞、普通にこれが作品賞で良かったじゃん。少なくとも、トム・クルーズやマイルズ・テラーが演技賞にノミネートすらされてなかったのは絶対におかしい。

本作は所謂「時代遅れのカウボーイ」と「アメリカ男の魂の継承」についての物語で、UCAVの発達によって戦闘機パイロットが不要になりつつある米海軍の現状を反映した設定があまりにも素晴らしい。すぐに連想したのは『ハートブレイク・リッジ』『ルーキー』『グラン・トリノ』等のクリント・イーストウッドの監督作で、特に『スペース カウボーイ』が本作に与えた影響の大きさは計り知れない。
前作から36年の時が経ち、今やトム・クルーズはイーストウッドと比肩するレジェンド俳優としての地位を確立したと言っても過言ではないが、彼の真の魅力はその「貫禄の無さ」にこそあると思う。『ミッション: インポッシブル/ローグ・ネイション』ではスタントダブル無しで飛行中の輸送機にしがみついたように、やってることだけ見ればイーストウッドよりもずっとタフガイ(××ガイとも言う)のはずなのに、なんでこの人はこんなにも“あんちゃん”にしか見えないのだろう……。しかし、そんなトムの芝居だからこそ、マーヴェリックが亡き親友の息子であるルースターに向き合うことへの戸惑いや苦悩に生々しいリアリティが生まれ、時には師弟の関係を逆転しながら互いに成長し、最終的には世代を超えた友情を獲得するというクライマックスの感動が切実に胸に迫ってくるのは間違いない。大体、女の家でセックスした後、相手の家族にバレないように窓からとんずらこくというクリシェが未だに成立する還暦前のジジィって異常だぜ?
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