ニャーすけ

胸騒ぎのニャーすけのネタバレレビュー・内容・結末

胸騒ぎ(2022年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

開幕するやいなや鳴り響く、おどろおどろしいストリングスの不協和音は明らかにやりすぎだし、普通に子供が残忍な暴力の被害に遭うし、最後の最後まで一欠片の救いも無いし、安心と信頼の胸糞映画先進国・デンマークさんの本気の感じた。さすが、トリアーが生まれた国! しかも本作は少しハネケの『ファニーゲーム』風味もあって、本当に隅から隅まで最悪。(※褒めてます)

その一方で、本作の監督は観客に対しては親切なようで、作品を読み解くヒントというか、実質の答えをエンドクレジットで提示してくれているのがありがたい。
そこに映し出されるのは一枚の絵画で、鑑賞後すぐにググったら『ガニュメデスの略奪』という作品であることが判明。これはオウィディウス『変身物語』の中の1エピソードを主題としているもので、簡単に要約すると、ゼウスがガニュメデスという美少年に惚れ、神々に使役させるため鷲に化けて誘拐するというものだ。(例えばレンブラントによる作品だと、ガニュメデスはより幼い子供の姿で描かれている)
上記のことから本作がこのギリシャ・ローマ神話をなぞらえていることは明白だし、作品そのものが宗教的寓話であるとするならば、あのオランダ人夫婦が児童誘拐を繰り返す目的が最後まで明示されないのも納得できる。

あと、最後にこれだけは言っておきたいんだけど、幾らあのオランダ人夫婦がキチガイだったとしても、人んちでセックスするのはマジでやめたほうがいいと思いますよ。

(※追記)
監督本人が結末について言及しているインタビューを発見!
宗教的引用は割と軽いノリで入れているようで、特に石打ちの描写に関して「銃やナイフだとありきたりだから……」つってるのが笑う。
インテリぶらないとても好感が持てる人物だった。

https://www.excite.co.jp/news/article/Cinra_202405_speaknoevil_imgwyk/
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