ひろ

寝ても覚めてものひろのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
4.5
大傑作『PASSION』からレベルが少し落ちてる。つまり傑作。

麦が消えて以降、麦の幻想を追い求め、彼を追い続ける夢の中で生きてるみたいになってる。麦が戻って来たら、それまでの夢がどうなるのか、という緊張感がある。

名前を名乗り合って突然キスして恋が始まる所、オフィスビルの階段での突然のキス、麦が現れてからの一連、傘を放って走り出す所、全てが言葉では説明できない感情の昂りを登場人物の行動だけで示してる。
『PASSION』のラストで、急に戻って来る所とかと同じで、濱口竜介はその辺が巧い。
キスする時に歩み寄る足をアップで撮ったショットを使うのも良い。

112カット目、東出昌大がパンを買いに行くと去るのを見送る側をズームアウトした不気味さが「もう確実に彼は帰って来ないじゃないか」と思ったら、一旦帰って来るから、「ここは一旦帰って来るのね(笑)」と思ってたら、ナレーションで「靴を買いに行くと言ったきり帰って来ない」と唐突に未来の行方不明を処理されて、123カットを終えてタイトルバックに。

この作品がソフト化されて、自宅で観ることになった場合、終盤の玄関先でのやり取り後の「カギをかける音がするか否か」「階段を上る音」が聞こえるのだろうか?
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