さわら

寝ても覚めてものさわらのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
4.5
2011年3月11日の震災が起こって間もなくは、いまある日常が当たり前とは思えずに、びくびく暮らしていたのに、いつのまにか“震災以降の日常”をあたりまえのように暮らしている。本作に出てくる麦/亮太も非日常/日常であって、それはいつとなく足音も立てずにやってくる。
すごくサスペンスフルな展開であり、それでいてエモーショナルな人間ドラマだ。ラストの真正面を向いた2人の掛け合いがなんとも美しく、今でも心を強く締めつける。

濱口映画のミューズといえば河井青葉さんだが、本作の唐田えりかさんも負けず劣らず素晴らしい。調べると若干20歳だとか。正面から彼女の表情を据えるショットはどれも画になってるから末恐ろしい。

女は怖いし恋愛に臆病になるわー、というのはむしろ逆で、共感も不感もなく、ただ連綿とした日常はラタトゥイユ入りのカレーのごとく、生活を醸成させていくのかなと思った。恋したいわー