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寝ても覚めてものkaoruiのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
4.5
#シネマイーラ
ハッピーアワーというインディーズですでに映画の極北に到達した作品をものした濱口さん待望の新作。

唐田えりかのまるでハッピーアワーから迷い込んだかのような浮き具合が秀逸で、これはもう計算なんだろうな。彼女の存在自体が発する異物感が映画をドライブする。
東出のプロ俳優としての昌平と、プロの部分を完全にリセットして作り出された麦との対比が素晴らしい。東出は真っ白なキャンバスのように監督次第で何色にも染まる異能俳優で、黒沢や瀬々、石井岳龍、最近では三島などこれまた異能な監督達に重用されてきた。彼の特異さが存分に活かされた設定だ。
川を見下ろす絵が二回出てくるが東出にとって二回目はただの澱んだ淀川で、唐田にとっていずれもそれは美しく、僕の目にも窓から見下ろすその流れはせせらぎ音と共に瑞々しく映えた。恐るべきはあり得ないくらい自己本位である唐田に感情移入してしまっている。これは紛れもなく演出のなせる技だ。

猫のジンタンがこれまた抜群の味わいだが、ウチのウランちゃんも実力的にはこれくらいはやれると思う。
彼女も真っ白だけど、何色にも染まらない純白だ。
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