tanananosa

寝ても覚めてものtanananosaのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
3.7
「麦」でバクと読む名前が面白いと思った。そういえば「バク」という動物は、夢を食べる伝説があるとかないとか言われていたような。本作の「麦」も、寝ていても醒めていても夢を食べていそうな、不思議な雰囲気を纏っていると感じた。
朝は、基本的には目が覚める時間帯。「朝子」は結局、目が覚める子という意味なのか。コーヒーは眠くなくなる作用があるから、朝子はコーヒー屋さんで働くことで、気持ち的に目を覚ました状態(良平と付き合うこと)を保っていたのかもしれない。

挿入される音楽が良かった。夢のような現実と、現実のような現実へ移ろうタイミングに流れる音が情景にとてもマッチしていて、見ているこちらまで時空のゆがみに引き込まれるような感覚を少し、味わえた。

唐田さんは、はまり役だったと思う。純粋で何を考えているか分かりにくい雰囲気がぴったり重なっているように見えた。初めて見た役者さんだから、そう感じたのかもしれないけど。
東出さんの喋り方はいつも、声自体が棒読みのように聞こえる。そのためか、どの役でもほぼ変わらない印象を受ける。でも、本映画では髪型や恰好による変化が大きく、特に写真が表示されている時は別人に見えた。見た目が変化できる素材の良さもすごいし、その良さを活かして別人のように見せる技術もすごいと思った。

可愛い猫を抱っこしたくなったり、コーヒーを飲みたくなったりする映画であった。
tanananosa

tanananosa