DZ015

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のDZ015のレビュー・感想・評価

4.8
刺さりすぎた。フロリダの明るくカラフルな街並みと対比するように貧困層の過酷な生活が描かれるが、どんな環境も楽しんでしまう子供の目線が主なのでその無邪気さが余計に痛い。タトゥーだらけ(本物)で口のきき方も知らない若い母親ヘイリーに職が見つからないのは当然、安易にそう思ってしまうがその安モーテルには常識的な人々も暮らしている。しっかり働いても部屋を借りることが出来ない人々が存在するアメリカの現実。

生活を維持するため徐々に犯罪に手を染めるヘイリー。彼女なりの愛情をしっかりとムーニーに注ぎながら。その接し方からも負の連鎖が透けて見える。ウィレム・デフォー演じるモーテルの管理人が絶妙な優しさの持ち主であるのが救い。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」同様、行政のあり方も痛切に問いかけられる。ここ日本の現在もまったく対岸の火事ではない。ドキュメンタリータッチでほとんど音楽もなく進んでいくだけにラストの対比が見事すぎ、エンドロールでのこみ上げが強烈。たぶん3日間は思い出して込み上げる。大傑作。
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