aki

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のakiのレビュー・感想・評価

4.0
子ども、これ、どうやって撮ってるの。
間とか、声色とかもそうだけど、今回子どもが映画で「だらだらしてる」のを始めてはっきり認識した気がして、おおおおお、と唸った。だらだらする、って意外と難しいと思うんだけど、どこからどこまでが演出の力なのか、気になるー。上手すぎる。

背後からのショット、引きの映像、が多用されていて、必要以上に子役の表情にはクロースアップしない。けど、だからこそぐっとアップになるシーンに迫力が出てた、特に後半のホテルのバイキングでのシーン、最高だーと喜ぶムーニーをながーく撮ったあとの母親の表情がずしんときた。きたー。
母親はいわゆる社会的弱者だけど、子ども目線で描かれているからかすごくフラットに見える。ただ一生懸命生きてたけど、ただ今いる場所に辿り着いてしまって、ただそこでまた一生懸命生きようとしてるだけなんだと思う。演出過多にも、逆に変に同情的にもならない作りに、好感度大でした。

子どもの遊び場のようなモーテルからはじまって、モーテルから近隣のモーテル、ホテル、空家とどんどん広がる世界観、そして最後はフロリダと言えば、なところにたどり着く構造。生きて行くのが精一杯なあのモーテルに住む人々がいる一方、ああそうか、ここはフロリダだ、と思わされるのは希望なのか絶望なのか。

私には判断がつかないが、邦題の「真夏の魔法」、ってサブタイトルとあの宣伝文句は、ちょっとどうかと思う。
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