こうみ大夫

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のこうみ大夫のレビュー・感想・評価

4.5
最後の無理矢理感はあるのかもしれない。しかしiPhoneによって私たちは限りないリアリティへとようやくあそこで戻される。
些細なしくじりだったのだろう。モーテルという場に集い、また離れていく人々は様々な理由を抱えていて、皆上手く生きているとはいえない。家族というには怒られるような生活を営んでいるが、それでも精一杯楽しい日々だ。是枝が万引き家族を作らなかったとしても、こういった作品が作品賞を獲るだろうし、私たちの日常はこうした現実を無視し続けながら描けなくなっている。貧困=悪、のような描き方がもう旧時代的であり、本当にこの作品で悪いのはこうしたあり方を否定する“私たち”という集合体なのだ。分断された向こうに映画が行き、観る人を殴りつけることこそ映画のこれからの役割なのかもしれない(目線のショット、ファックの口)。モーテルという設定、またその支配人という立ち位置もとても上手かった。
こうみ大夫

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