ダメハム

戦争と平和のダメハムのレビュー・感想・評価

戦争と平和(1965年製作の映画)
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【第1部】国家的規模で作った全4部の超大作。美しい自然描写や人海戦術で撮られた迫力ある戦場シーンなど映像美にくぎ付けにされる。撮影もよかったし、何より雄大な俯瞰のカメラワークにはほれぼれする。でも、人物描写が希薄で、いまいちつかみどころがないのが気になる。

【第2部】主人公がアンドレイからナターシャに移行。彼女の華麗さは伝わるが、後半の恋愛の葛藤がほとんど抜けていて判然としない。明らかな描写不足で中盤の中だるみも否めない。でも、ラストのピエールのくだりはよかったね。相変わらずカットを極力排除したダイナミックなカメラワークは見どころ。

【第3部】映画史上類を見ない大迫力の戦闘シーンに脱帽・・・。これほど凄惨で生々しい映像を見たのは初めて。ロングで地平線の果てまで映しても人と馬の大群。全てが本物! 圧倒的な人海戦術を駆使した兵馬の戦闘や膨大な火薬といい、とんでもないレベルの映像に終始圧巻。こんなの二度と撮れないだろうな・・・。

【第4部】4部作の最終章。第3部並みに信じられない規模を費やしたモスクワ炎上には目を奪われる。戦争による大勢の死から銃殺刑での少年の死の対比など印象的な演出も多々あるが、どうしても説明不足が目立つ。原作で補完するべき部分が多いのも残念。でも、非常に見応えのある映画でした。
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