松井の天井直撃ホームラン

あのコの、トリコ。の松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

あのコの、トリコ。(2018年製作の映画)
-
☆☆★★(前半)

☆☆☆★★(後半)

原作コミックは未読、簡単に。

ヒロインを巡って、大人しい彼と。既に売れっ子になっている彼との間に生まれるライバル関係。
幼い頃から知っている。この3人の間で、どことなく漂うこの『突然炎のごとく』の様な感覚。
多分、原作者自身は意識している訳ではないのでしょうけど。

しかし、はっきり言って、前半は退屈で仕方なかった。
新木優子ちゃんは可愛いけれど。イケメンと言われている(らしい)2人の男の子に、おじさん興味が湧かないのもその1つ。

だけど…。

3人共に映画の主演が決まり。それぞれの道を歩み始める頃から、段々と面白くなって来た。

その始まりが。ベンチに座ったヒロインと、大人しい眼鏡くんの彼が、その話題を話し合う場面。
その後、ヒロインを巡り。2人の男の子が、撮影所のセットの中で話し合う。ワンシーンワンカットの長廻し。
この2つの場面の滑らかに動く撮影の素晴らしさがこの作品の白眉。

実は事前に、監督が誰なのかを知らずに観ていました。
この手のコミック原作モノって、雨後の筍的に沢山有りますが。本当に満足出来る作品と言うとなかなかね〜(u_u)
若手の監督さんにとっては。自身の力を知って貰う為の、キャリアの一環として引き受ける場合が多いかと思いますが。中にはかなりのビッグネームの監督さんも。
その場合、大体は小金稼ぎに終始し。自身の存在を主張する為か?やたらと長廻しを多用したり。カメラを、対象とする出演者の廻りでゆっくりとパンしたり…と。何とか「私は(こんな題材でも)努力していますよ!」感をやたらと主張して来ますよね〜…廣◯監督〜(・Д・)

だからてっきり◯木監督作品だとばかり思っていた程(u_u)
どこまで原作コミック通りなのか?は不明ですが。もしもその辺りがオリジナル脚本だったならば、高得点を点けてしまいそうでした。
完全に、観ている間はアート系と商業映画との狭間で悩む、廣木監督の心の叫び…だとカン違いをしていた(ー ー;)

鑑賞後に検索したら。どうやらこれが初監督作品らしいですね。撮影監督の川口次男さんを検索したら。「世にも奇妙な物語」や、「優しい時間」等のドラマ畑の人らしく。共に今後が楽しみ。

最後にちょっとした驚きを。

作品中の舞台・映画監督役に岸谷五郎。
これまでは、単なる辛味成分だけの大根だとばっかり思っていましたが。この作品では、出汁の味が美味い具合に染み込んだ大根になっていた。

2018年10月8日 TOHOシネマズ西新井/スクリーン4