ウルフガー

ミスミソウのウルフガーのレビュー・感想・評価

ミスミソウ(2017年製作の映画)
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アマゾンプライムにて視聴。原作未読。これ大傑作なのでは。まず芝居が素晴らしい。このテンションの低さよ。後ろにいる奴らが何をするでもなくただ居るだけの実在性の無さよ。リアリズムでもなく洋画に寄せればいいというのでもなくこの作品に関してはこれという演技で固めている。よく指導したなと思った。

思えば70年代の邦画は血の気の多い作品が多かった。ああいったものはもう作られないなと思っていたがちゃんと現代にアップデートして殺戮を真正面から描く映画をよく作ったものだと思う。山田杏奈嬢からはさそりイズムさえ感じた。観ている間ずっと興奮していたよ。

予告等から一直線の復讐モノかと思ってたけど30分くらいでとんでもないことが起こり「あとの時間保つのか?」と思ったけど一種の群像劇になっていった。それぞれの人物の抱えた物をちゃんと描きながら見事にまとめ上げている。この子が主人公だったんだというラストも自然と受け入れられた。本当感心する。

復讐というものはゆっくりと落下する投身自殺のようなもので地面に激突して弾ける前に全員道連れにする様を見せる芸術なのです。この映画はその点完璧だった。
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