Kana

ミスミソウのKanaのレビュー・感想・評価

ミスミソウ(2017年製作の映画)
2.0
廃校間近の田舎町の中学で起きた残忍なイジメの招いた悲劇…昭和末期日本版キャリー。

みんな適度に下手くそで、等身大で、やたら静かなイジメのシーンとか、素人臭さにリアリティがあった。
教師がイジメを堂々と黙認するなんてありえない…と思いつつも実際にはありえてしまうのが現実で。
途中から一気に現実離れした展開に進んでいくけれど、そのB級感も振り切っていて見たくないのに目をそらせない。
邦画ならではの静かな不気味さをうまく利用していて、現実と狂気の揺らぎが夜の赤黒い闇に映し出されているようで。
対する昼間の真っ白い雪の中に広がる鮮血が美しく見えてしまうのがまた狂ってる…。
そして後半からはもうただの復讐劇で終わらずに、張り詰めていたそれぞれの狂気が一気に爆発して交錯しあい飛び散る血飛沫の嵐…。
原作漫画読んでいたので展開は知っていたけど、実写化したら遥かに想像を超えて怖かったです。
原作の恐ろしさを余すことなくぶち込んできていて鳥肌立ちました。
それにしても悪の教典や告白みたいなエキセントリックな方向にいくかと思ってたけど、まさかがっつりB級路線でくるとは…。
病院でのシーンとか、後半もう普通にホラー。
怖かったけど、雪の中のシーンはやっぱり綺麗で、映画ならではの終わり方に感動させられてしまいました…。
絶対いろいろと間違っている気がするのに、まるで何か一つの大きな壁を乗り越えて大人になったような清々しいエンディング…っていや絶対おかしい!
どう考えてもハッピーエンドではありえないし、何一つ納得できないし、スッキリしないのに、なぜか全てを「時代」や「環境」や「思春期」という大きな波のせいにして飲み込んでしまうようなエンディングテーマが怖い。
衝撃的で洗脳的な映画で完成度が高いとは思いますが、もう二度と見たくないとも思いました…。
ちなみに山田杏奈さんこの作品で初めて知ったけど、若い頃の志田未来みたいで可愛かったし、素朴で不器用そうな喋り方もよかった。
ちょっと今後が気になる女優さん。
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