さわら

ビール・ストリートの恋人たちのさわらのレビュー・感想・評価

4.0
幼すぎる男女の前に立ちはだかる、あまりに非常で残酷な現実。肩身せまく、胸を張って街を歩くことすら許されない1970年代アメリカ。
とはいえ全てが捨てたもんばかりじゃなくて、例えば近所の商店のおばちゃんだったり、2人に部屋を貸すユダヤ系の若者だったり、つまるところどんなに見捨てたような世界でも、“愛の存在をどこまでも信じている”映画だった。まさに「愛を信じるのならうろたえるな」という劇中の言葉を体現してるようだった。

それにしても、舞台がポップ・カントリー・R&B・ジャズなど、さまざまな音楽を開花させて行った地だからか、大仰すぎる劇伴が耳につく。甘美な劇画の雰囲気をスクリーンからムンムン感じ、それでいて扇情的でエモーショナルなニコラス・ブリテルの音楽という重さ。クリームたっぷりのパンケーキの横に、おはぎをトッピングしたかのような映画だった(例えが下手すぎて失笑