ペイン

スリー・ビルボードのペインのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.5
“怒りは怒りを来たす”

北野武、コーエン兄弟からの影響を公言しているだけあり、“緊張と笑い”の緩急が今まで観たことないような凄まじいバランスで成り立っている。

役者陣の演技もパーフェクトに尽きる。特にマクドーマンド、ロックウェルはキャリアベストアクト。

“怒りは怒りを来たす”という言葉通り人間の怒りや憎しみは連鎖していく。ただこの作品は例え憎しみ合っている人と人でも一度何かをきっかけに繋がれば強い結びつきになることをも提示している。

優しさと厳しさ、緊張と笑いという常に表もあれば裏もあるという二面性をこの作品は半端なく丁寧な人物描写で描いている。

とにかく今の時代には珍しい良い意味で“アナログで人間臭い”映画。

あまりに鋭い社会批判、問題提起と骨太な人間ドラマの余韻に観終わった後はしばらく席を立ちたくなかった。この余韻とはしばらく向き合って考えていきたい。やはり人間いつどこで誰と深い共鳴で結ばれるかはわからない。 

P.S.余談
歯医者のくだりクレイジーすぎ(笑)マクドーマンドの娘の部屋にはニルヴァーナのアルバム『イン・ユーテロ』のポスターが貼ってあったからたぶん性格はクレイジーな娘だったんだと思う(笑)
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