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スリー・ビルボードのkaoruiのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.5
イマジネーションに満ちた豊かな作品だ。

登場人物が皆画面いっぱいに暴れる。
車にモノを投げつけた息子の友達の女の子のミゾオチに何の躊躇もなく一撃を入れる母親。うずくまる女の子、息子は淡々とありがとうマザーと返す。母親の顔が完全におっさんだ。

テーブルをひっくり返す元夫、一触即発の一連の動きの中、息子が流れるように親父の喉元に包丁を突きつける。収まると家族が再び整然と片付け始める。


田舎の架空都市、ノスタルジックな音楽、濃い青空、真紅のペンキ。少女の遺体。小人。小人の顔に元夫の奇怪な童顔を確信犯的にオーバーラップさせる。背筋が凍る。ツインピークス的なモチーフが散りばめられる。

ビルボードの収め方が素晴らしい。裏側からの俯瞰を多用しつつ、特に炎上シーンは美しく禍々しい。
恩讐の彼方の高揚感溢れるラストも暴力的でやんちゃで謎のカタルシスに溢れ、僕は大好きです。
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