最初から最後まで、この物語を包み込んでいたのは『怒り』でした。
娘を無惨に殺された母親の怒りだけではなく、ほぼ全ての登場人物たちが、今にも爆発しそうなくらいの怒りを胸に抱いていました。その裏側には、どうすることもできないほど行き場のない哀しみがあって、過去は変えられなくて、救いなんかどこにもなくて、観ていてとてもつらかった。それでも時折出てくるほんの些細な優しさが、すげえ身に染みる。
三枚のビルボード、遺された言葉、心からの思いやりの言葉。
言葉の重さ、言葉の持つ力をまざまざと見せつけられました。
地獄のような苦しみの道をたった一人で歩み続けるミルドレッドの姿が忘れられない。ラストがとても好きです。