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スリー・ビルボードのMAOWのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
3.7
なんと重層的な映画なことか。

導入とラストはカントリー的なテイストもありながら、
色々なテーマが入り交じっている。


人生の不条理さ
誰が敵で誰が味方になるかの曖昧さ
自身の人間性の変化
対人関係の変化


なんか、一時一面見ただけで
その人のこと分かった気になったらあかんなって思った。



派手な見せ場は無くとも「魅せる」映画たりえる最良のお手本。



Woody Harrelsonの手紙。
あれは泣ける。

最終的に主人公を応援する形になるの、アツい。


主人公がラストにSam Rockwellとバディ組むのもいい。




ずっと「事件を見つめる」方向だった看板とのシーンが
ラスト「看板に見送られる」形になってて鮮やか。


ラストのシーン、一瞬だけ
「自身の事件とは関係ない悪人ぶっ殺しにいって、
捕まることでさっさとこの苦しみから解放されたいのかな」
とか思っちゃった。

「怒りは更なる怒りを生じる」とか言ってたし、
「あー、車のナンバーからの住所、実は間違えてて、全くの無関係の人ボコっちゃって、負の連鎖が続きそうだ…」とかね。

でも違いました。

あれは明らかに
「一歩前に進むことができた」表現だった。

だって主人公笑ってたし。


傍から見たらダメな解決方法かもだけど、
自分の人生にケジメをつける、納得いく方法は、
当人にしか決められない。

あー、それでいうと
『プロミシングヤングウーマン』に似てるのかも。



劇中ではほとんど何も解決していないのに、
それでも大団円を迎えたような爽やかさは、すごい。



『ANT-MAN and THE WASP2』で大活躍したKathryn Newtonちゃんがチョイ登場。
ちょっとだけ太ってた(笑)



あとセリフのやり取りが面白い(笑)

「違法になるぞ」
「ならない。本で調べた。」
「なんて本だ」
「タイトルは…『失せろ、つべこべ言うな』」

「あの事件の件はどうなってる?」
「『すっこんでろ』の件はどうなってます?」
とか(笑)
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