kkkのk太郎

劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人のkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

2.8

このレビューはネタバレを含みます

お尋ね者の騎士団”七つの大罪”の活躍を描くファンタジー・バトルアニメ『七つの大罪』シリーズの劇場版第1作。

ある目的のため大地へと降り立った天翼人のソラーダ。彼に導かれ空に浮かぶ島・天空宮へとやってきた七つの大罪は、封印から目覚めた魔神族の精鋭”黒の六騎士”と相対する…。

主人公である”七つの大罪”のリーダー、メリオダスの声を演じるのは『進撃の巨人』シリーズや『僕のヒーローアカデミア』シリーズの梶裕貴。

原作はシリーズ累計発行部数5500万部越え、現在も続編『黙示録の四騎士』が絶賛連載中である「週刊少年マガジン」の同名漫画(2012〜)。
2014年からはテレビアニメ版もスタートしており、そちらも現在『黙示録の四騎士』が放送中のようです。

テレビアニメ版は未見だが、原作はこの映画が公開されたタイミングでの最新刊にあたる33巻までは読了。
ちなみに本作、原作者・鈴木央先生の書き下ろしネームを基に映画化された作品であり、33巻に掲載されているオマケ漫画によると通常連載と並行しながら290ページものネームを1ヶ月弱で書き上げたらしい。
昭和の漫画家みたいな仕事量だぁ…😰これは過労死待った無し。
とりあえずこのネームが読んでみたいんだけど、書籍化とかされてるのかしらん?

これは原作漫画から感じていた事なんだけど、鈴木央先生は影響されたものをそのまんま形に出しすぎ。
とにかく「DRAGON BALL」と「ドラゴンクエスト」が好き…というか鳥山明先生を信奉していることは漫画を読めば一瞬でわかるし、他にも「トリコ」とか「HUNTER×HUNTER」とか「RAVE」とか、とにかく何に影響を受けたのかがすっごく表に出ている。

今回もまぁ既視感が凄い💦
空に浮かぶ島、そしてそこに住む羽の生えた人々って、これはもうどうしたって「ONE PIECE」の空島編そのまんま。
大きなタマゴが聳える島という設定も「ゼルダの伝説 夢をみる島」(1993)で見たし…。というか、確かゼルダにも空島を舞台にした「スカイウォードソード」(2011)って作品があったような。…ゼルダ好きなんすね。
冒頭の食材集めは完全に「トリコ」だったし、映画になってもオリジナリティの薄さは健在である。

内容について特に語る事はない。原作者本人が手掛けているとはいえ本編の時間軸には属さないパラレルな物語であり、お祭り感はあるが特別感はない。
2000年代に制作されていた『ONE PIECE』とか『NARUTO』とかのジャンプアニメ映画、ガラクタ感強めだったあの時代の作品と似た雰囲気であり、懐かしいっちゃ懐かしい。
良くも悪くも、七人が揃ってからの本編はシリアス一辺倒なので、こういうキャラ人気に頼ったお気楽なエピソードというのもそう捨てたものではないのかも。
人気YouTuberであるFischer’sのシルクロードやお笑い芸人・よゐこなど、ちびっ子人気の高い芸能人を声優に起用していることからも、本作が『七つの大罪』ファンの子供たちに向けて作られていることは明白。まぁ子供が楽しむ分にはこのくらいの出来で良いんじゃないですか?

作画は可もなく不可もなく。
2018年といえばまだ『鬼滅の刃』が放送される前。『鬼滅』インパクト後のアニメ作品にはとにかくクオリティの高さが求められるが、それ以前の、特に少年漫画アニメ界隈はどこか緩い雰囲気が流れていたように思う。今作もそういう流れの中にある作品である。
「こんなもんでいいんだよこんなもんで」という志の低さが見て取れるが、まぁ少年漫画原作のアニメ映画なんて元々そんなもんだったよね。100億とか200億とか稼いじゃう今が異常なだけな気がする。

本作のメインヴィランである黒の六騎士。こいつらが弱すぎるので全然緊張感はない。「こんな奴らどうやって倒せばいいんだ…😨」みたいなテンションには1秒たりともならない。
まぁこれは七つの大罪が全員揃うと無敵、という原作のパワーバランスがそもそもおかしいのであって、この映画の罪では無いような気もする。そのせいで原作漫画では仲間割ればっかやってるからね😅
ただ、リーダーの青い服の人!お前「メリオダスだけは許さん!!💢」って言うんだったらさ、せめて顔くらいは覚えておこうよ…。

個人的に一番気になったのは、メリオダスとソラーダが瓜二つという件。実の父親すら見分けがつかないほどにそっくり!!…か?声も体格も髪型も服装も違うし、そもそも羽生えてないし。どこからどう見ても違う人なんですけど!?
この手のそっくりさんとすり替わっちゃうって展開、少年漫画では結構ありがち。例えば『ルパン三世VS名探偵コナン』(2009)でも、蘭姉ちゃんと某国のお姫様がそっくりだったことで一悶着あった。
『ルパコナ』くらいそっくりだったらまだ「確かにこれは間違えるかも…」と思えるんだけど、本作のメリオダス/ソラーダはちょっと似てるくらいの感じのため、すり替わるには無理がありすぎる。
なんというか、声が大塚明夫だから誤魔化されているけど、ソラーダのオヤジってただのポンコツなんじゃないだろうか。メリオダスがピンチになったのもこのオヤジのせいだし。まさかこれダメオヤジがリーダーだと苦労する、という風刺映画だったのかも…!

とまぁそんなこんなで、映画としては特に見どころのない作品だったけど、ファンのちびっ子向けの映画なんだろうし外野がガタガタ言うのも野暮か。
ただ一つ。これは原作から思っていたんだけど、ちびっ子向けの作品で、主人公がセクハラしまくるっていうのはどうなの?
なんか光源氏っぽいメリオダス。コイツの行動ってとにかく気持ち悪いんだけど、そこんところちびっ子たちはどう思っているのだろうか…?
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