とぽとぽ

ミステリーロード/欲望の街のとぽとぽのレビュー・感想・評価

3.8
ハイウェイの野良犬 --- 淡々ながらわき目もふらずに骨太。これはテイラー・シェリダンのフロンティア三部作・ミーツ・豪州版『ノーカントリー』だ! 故郷マサカー州(※『悪魔のいけにえ』の原題ではありません)に帰ってきた原住民の刑事が挑むアボリジニの少女殺人事件。とりわけ目撃情報や物証などから辿られる孤軍奮闘な捜査過程。それに象徴されるように、どちらかと言えば寡黙ながら己の正義を貫く姿勢が人間の良心と差別(される側)を体現。そこから他者とのか関わりの中で歴史も感じさせ、地域と同じく主人公のキャラクターにも厚みを出していく。それ以外あらゆる装飾を排し、ただ静かに、ジッと我慢強く綴られていく。そんなジリジリと日照りが続き生命も多くはいなさそうな見渡す限り果てしない荒野を舞台に、ハリウッド映画に見慣れた人からすると地味だろうな一本。かと言って映画的"分かりやすい"カタルシスが全くないのかと言われれば、そういうわけでもない。特に耐えてこその終盤。同僚役ヒューゴ・ウィービングが初登場シーンから(とりわけセリフを言う度)始終胃キリキリ悪寒走るような存在感を如何にもってくらい出している前フリ。テーマとして案の定(?)性やら汚職やら社会の暗部が描かれるから見ていてイヤ〜な気分になるけど、このオーストラリア映画は見る価値のある一本である。

「なぜ野良犬(ディンゴ)と分かった?」「世の中おかしくなっている」「少女がハイウェイで売春してた。腐った奴らを一網打尽したい」「小さな町だ。奴らが襲いに来る、手段は選ばない」「オーブンに赤ちゃんを入れたり...じきに無法地帯になる」
勝手に関連作『ノーカントリー』『ウィンドリバー』
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