ちょろもち

ガーンジー島の読書会の秘密のちょろもちのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ロンドンと比較して島の景色が美しく描写されている。島の風景には透明感と光があり、ロンドンはどこかしら閉塞感がある。
主人公が出会う男性も同様の対比。島から手紙を送った男性は地味で朴訥ながら誠実。ロンドンにいる婚約者は煌びやかな世界を見せてくれるが、主人公は彼の人生の装飾品であり型に押し込めた見方しかしてくれない。それらは主人公が離れていくシーンで如実。島の男性は彼女を静かに送り出すが、ロンドンの男性は怒り声を荒げて放り出す。
プロポーズのシーンも、どちらから結婚を申し込むかで見事に対比がされている。プロポーズする場所が同じことも相まって、対比効果がすごい。
これらの対比によって、主人公が幸せになるためにどちらを選ぶべきかが示され続けている。

美しい風景の中で、自立した考えを持った美人が、型にはめられた人生から脱却して自由になる。テンプレな作りだけど、そこに読書という要素が絡んで好みの作品になっていた。
才能がある人間はどこでも生きていける。羨ましい。
あの美しい島で自由に幸せに生きるのは本当に素敵だろうと思うが、薬草を売ってる女性の独り身を思うと少し切ない。
割と好き。