きみどり

ブリグズビー・ベアのきみどりのレビュー・感想・評価

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
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幼い彼を誘拐した育ての親も、実の両親も、きょうだいも、クラスメイトたちもみな優しい。しかも映画を撮る映画という、大好物。なんて素晴らしい世界なんだ。

…と、とても良い心持ちで見え終えたんですが、ふっと「これ、重度のヲタの妄想世界なんでは?」と頭に浮かんでしまい、そうしたらもう引き返せなくなってしまった。

子ども時代に、実の親がどこかにいるはずという考えに取りつかれていたことがある。授業中に白昼夢に耽ってしょっちゅう教師に叱られたし、周囲からズレまくっててうっすら疎外されていたし。ええまあ、立派な(?)nerdだったわけで…。

多かれ少なかれ、ヲタは似たような感じだと思う。けれど強烈なルサンチマンを抱えたまま大きくなった人が、子ども時代に望んだ世界を映画で再構築したのだとしたら。作り手が実際に生きたのは「優しい世界」ではまったくなくて、裏返しの残酷な経験がたくさんあったんだろうか。そう考えると、ものすごく悲しい物語よねこの映画…。

と、勝手に妄想に突っ走るからわたしはいつまで経っても未熟なんです。
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