巛七

ブリグズビー・ベアの巛七のネタバレレビュー・内容・結末

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

25年間誘拐されたことも知らずにすくすく(?)育ち、元の家族のもとに戻る話なのに、終始何だかふわふわして、気付いたら心にスッと沁みる

何でこんな軽快なんだろうと思ったら、
これがジェームスの視点の物語だからなんだよね。
(最初にドクターが急に現れた辺りなどが顕著だよね)

なぜ元教授の女が誘拐したのか、
どうやって誘拐したのか、
お父さんはどんな思いで四半世紀に渡って古い機材で子ども番組を作り続けたのか、
刑事は誘拐犯を追うためにどんなドラマがあったのか、
その25年間本物の両親にどんな苦悩と葛藤があったか、
そして8つ離れた妹がいると言うことは夫婦はどんな気持ちで2人目の子供を迎えたのか、
そしてそういった見聞や目線を受けて育った妹はどんな人生だったか、
アリエル役の女性はどんな取り調べを受けたのか、
(そして恐らく1番ジェームスにとって不可解であったであろうドクターは、どんな姿勢で彼と向き合っていたのか)

本来であれば凄惨な話なのに、死人もいない。

みんなの心にぽっかり空いていた穴に嵐を巻き起こし、
その穴を無意識にも不器用にチャーミングに埋めてくれたんだね。
ちゃんと自分で幕を下ろしたんだねジェームスは。えらい。

そんな彼を周りの人たちが、これはフィクションだからなのは分かってるけど、決して異端扱いしなかった。それも見ていて嬉しかった
(オススメされたビデオデッキを全部見た彼、推せる)

決して正しくは無い方法ばかりではあったが、確実に彼は愛されていた。
だからどんなに信条と思想が常人と異なる宇宙人でも、彼は他の人を愛すことができるんだね。
泣けるぜ。
きっとこの映画を撮り終えた後の彼は大丈夫ちゃんとやっていける

愛すべき危険分子だね
巛七

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