トランプ vs ワンダーウーマン
大好きな小説「猿の掌」がモチーフになっていて驚いた。でも残念ながら全く活かされていないことにもっと驚いた。
これ、要所要所を締めたらすごく面白い映画になったと思う。
①魔法の石の扱い:シトリン(=猿の掌)に触れて祈ると願いが叶うということを序盤もっと明確に演出すべき....っていうかなんで猿の掌を出さない?で、ダイアナの願いの描写と、石がヴィランの手に渡った経緯がモヤッとしているために、禁断の願いが大災難をもたらしたというダイアナの罪悪感や葛藤が希薄。でもってかなり後から急に「猿の掌だ!」とか言い出す。脚本が本当におかしい
②スティーブに体も家も乗っ取られた人は気の毒すぎる。映画「ゴースト」のオダ・メイ方式か!なんの罪もない人をこういう風に扱うことに全く共感出来ない。ここはあの世からスティーブがそのまま戻ってきた、で何も問題ないはず。
③エジプトへのフライト。行きも大概だけど帰りは?瞬間移動?こういう部分をいい加減に扱うのは絶対にダメでしょう。
④トランプさん(笑)と女ヴィランの関係性が曖昧すぎる。同僚のダイアナへの嫉妬描写が浅い。ヴィラン二人が序盤から魔法の石の意味を理解し結託してワンダーウーマンと戦う、としないでそれぞれバラバラに争うから上演時間が延びる。普通にやれば120分で終わる話。
⑤冒頭シーンも、ラストのアーマーも出オチというか、本編とうまく絡み合っていない。スポーツでズルをすることと魔力によって願いを叶えることって全く別の問題では。あのアーマーいつ持ってきた?梱包サイズはかなり巨大だったのにそれどうやって持ち運んだ?しかも戦闘に邪魔すぎて着た本人が最後には毟り取ってた(笑)。
という感じで細かい部分の辻褄が合わず、訳が分からない描写が多すぎるせいで、せっかくのトランプ禍のメタファーが映画としての魅力にならなかった。すごく面白いヴィランなのに。あとチーターどうなった?扱いが雑すぎて哀れ。
ガル・ガドットは最高に美しくて素晴らしいんだけどなあ!
ただ、続編が作られないのはイスラエルの問題があるからで、なんだか複雑な気持ちになる作品でした。