あくとる

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのあくとるのレビュー・感想・評価

4.5
"時間"

これは問題作。
実にズルい作品だ。
大の大人が号泣させられてしまった。

これ以上無く見事な幕引き。
クレイグボンドが残していたものにキッチリとケリをつける。
ゆえにクレイグ過去4作の見直しは必須。
かつてないほどエモーショナルなドラマ。
脚本もトラブルがあったとは思わせない程度に整えられている。
フクナガ監督の手腕がこれ程までだったことに驚き。

まず、オープニングから一気に引き込まれる。
引退してマドレーヌと幸せに過ごしていた日々が突然終わりを迎える。
流れるようなアクションと驚きの展開からスムーズに美しいオープニング・クレジットへと流れていく。
そして、ボンドは彼とマドレーヌを引き裂いた"過去の亡霊"との最後の戦いに身を投じる。

本作の魅力はやはり丁寧な人物描写。
じっくりと163分かけてボンドの人間的な面を深く掘り下げる。
お馴染みの演者たちの演技はいつも以上に繊細で、『カジノロワイヤル』から積み重ねてきた"時間"が深い感動を呼ぶ。
また、初登場のアナ・デ・アルマスやラシャーナ・リンチは、湿っぽくなりがちな本作でちょうど良いユーモアキャラだった。
そして、二人ともしっかりとカッコいい活躍をする。

ひとまず、初見の感想はこんなところ。
必ずまた見に行きます。
最高にカッコいい僕らの時代のジェームズ・ボンド。
ダニエル・クレイグ、お疲れ様でした。

【2021.10.6@IMAX】
二度目の鑑賞。
163分あるので二度目は退屈してしまうかとも思ったが、無駄に感じるシーンはほとんどなかった。
ただ、初見時とは違ってかなり落ち着いて観ることが出来てしまったので、一旦4.7から4.5へ下方修正。