krishna

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのkrishnaのレビュー・感想・評価

3.1
良し悪しは別として予定調和を全て壊したな。グレイク版ボンドは5作連続の作品だったので今までとは全く違うものだった。

ショーンコネリーを初めとした歴代ボンドの様な洗練された感じではなく、野性味のあふれたボンド、今までのボンド像とは違う感じがカジノロワイヤルで感じたが、そこから違っていたのかも。MもQもマニーペニーも今迄とは真逆の存在だったし、あえて過去のボンドを壊したグレイク版ボンドだった。
内面を描き、ヴェスバーを忘れられないボンド。評価の低いレーゼンビー版ボンドの影響が強いと思う。オープニングとエンディングの海沿いの路は『女王陛下の007』のオマージュではないかな。
ボンド自身の洗練されたイメージを守るのでなく壊し、主要な登場人物も壊して一から人間ボンドを作り上げた。ただそれだとボンドである必要がないから、BMWとかに浮気してたボンドカーをアストンマーチンに戻したり、ドライマティーニを飲ませたり、形だけは残した。
やはり『カジノロワイヤル』が最高だったが、最後に盛り返したグレイク版。


守破離の破を5作かけてしたので、次のボンド役は大変やな。懐古主義で元に戻したら、若い子には『キングスマン』のパクリと思われるだろうな。



以下ネタバレとしてつらつらと。


フィリックスをあんなに簡単に殺すのは思い入れ無いんだろうな。
アナはめちゃめちゃキュートなボンドガールだった。グレイク版はキュートな女性に対しての返しが上手く無い。ウィットには富んでるがユーモアが少ない。

結局、グレイク版は時間を継続させてしまったからボンドは老いたんだよな。最後家族守っちゃってるし。悪くは無いけど、ボンドは世界を守りつつ女性と寝るフェミニストの敵の位置付けなのに、家族守って死ぬのはダブルオーのライセンスは剥奪やな。
『スペクター』より断然良かったが、つくづく『カジノロワイヤル』が完成されてたと感じる。
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