Frengers

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 @ドルビーアトモス
 冒頭の雪原の俯瞰ショットからホラーっぽいなぁと思い異色な007だなぁと思っていると、グラスの落下や零れる様を撮らず階段の上る様を省略した時点で本作に対する期待は大分薄らいでしまった。演出面での興奮と言えばガラスや氷といった透明な画面の反復とイニャリトゥやヴィルヌーヴを彷彿とさせるタルコフスキー経由の空間設計や階段での長回しのアクション位だった。
 プロットの世界観の曖昧さも去ることながら美術や衣装も気になった。例えば追っ手から逃げる母親があんなに高いヒールを履くのだろうかとか、畳、正座もよくわからない。そもそも自分が落ちるかも知れないのに氷にバンバン銃を撃ち込む時点で…
 呆気ないラミ・マレック演じるラスボスもさることながら新しい007のラシャーナ・リンチといいパロマを演じるアナ・デ・アルマスといい蛇足になってしまっている。俳優のパフォーマンスは素晴らしいがPCに足をとられ過ぎていると思えてしまう。それによってハリウッドの名作の条件の一つであるはずの不必要なら映さない、映したものは作品全体に何かしら意味をもつという伝統や姿勢が踏みにじられるのは残念だ。「SW8」や本作の様な配慮はいかにも白人的な気遣いに見えるのも気になる。
 ダニエル・クレイグお疲れさまでした。「Knives Out 2」期待してます。
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