三樹夫

007/ノー・タイム・トゥ・ダイの三樹夫のレビュー・感想・評価

3.8
ダニエル・クレイグボンド最終作、今作でダニエル・クレイグ主演のボンドは5作目ということで、主役俳優代わってwill returnっつってもどうするんやという、これでダニエル・クレイグボンドは終わりという終わり方だった。
スカイフォール以降の映像の系譜というか、今作も映像がキメキメというのは大方一致するところであろう。敵倒しながら階段上っていくのとか、パロマの床に寝転がっての三面四方撃ちとか最初から最後まで画がすげぇなというのを思わされる。さらにパロマが良かったというのも大方一致するところであると思う。男の都合のいい願望から成り立っている007シリーズにおいてパロマのようなキャラクターは重要であるように思う。

今作、ひいてはダニエル・クレイグ007は今の時代におけるボンドの自己言及が行われていたように思う。『ドクター・ノオ』、『ロシアより愛をこめて』を観直したけど、ブランドもんのアイテムでかためて、景色綺麗な外国に色々行って、美味いもんたらふく食って、次々と色んな国の美女とやってって、寝言は寝て言えみたいな。男の都合のいいキモい願望でパンパンで、『ドクター・ノオ』でボンドがハニー・ライダーに下心はありませんよとか言ってたけど、下心しかねぇだろ。007はこういうシリーズということに自己言及、あるいは自己否定してたのがダニエル・クレイグ007だけども、違和感を払拭はできない。次々とっかえひっかえみたいな性の対象としか見ないということはさすがにやってないけど、ボンドとマドレーヌは、完全におっさんと若い女で、若い女の子とやりたいおっさんの願望なるものがチラついてしまう。

後ラスボスが影弱いというのはどうしてもある。役者出来る限り瞬きせずあたおか演技を行ったり、能面や負傷した肌というギミックを使ったりしてるけど、TATAMIからのDOGEZAシーンでの自分語りのラスボスとしての威厳というか説得力の無さとか、幼少期のマドレーヌに会ってる割に若くない、何歳設定なんだろうっていうところとか、元々ダニー・ボイル監督予定が降板になったりとかで製作のゴタゴタも感じられるところがある。
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