KEiGO

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

これが男の生き様。
ありがとう、"007"。
お疲れ、ダニエル・クレイグ。

忙しかったこともあり、自分の中で消化するのに大分時間がかかってしまいました。
兼ねてから「ここまで長く続くと『007』は作品を超えて、歴史になりつつある。」と思っていましたが、今作もまさにそれを体現しています。

鑑賞後、「これは『007』なのか?」という感情と、「始まりから終わりまであんたはずっとハードボイルドだよ」って気持ちと、「でもダニエルボンドらしくて渋いじゃん」って思いが入り乱れました。
帰り道は"No Time To Die"しか聴けなかった。
それくらい余韻を残した作品だった。

コロナ禍で延期に延期を重ねた本作。
待ちわびましたよ…!
『007』シリーズでは初めて?の本格的な"続編"。
前作との繋がりがないことが『007』の売りでもありますが、ダニエルボンドは作品間で関連を持たせることで、全体的な厚みの演出に成功しています。

まずはアクション!
冒頭のイタリアの息もつかせぬ逃走劇、キューバでの銃撃戦、北方領土での救出作戦。
どれもがダニエルボンドとして完璧でしたね…!
今までのどの"007"でもできない本格派のアクションだったと思います。
ただ個人的に気になったのは、音響ですね。
まず、銃声がかなりリアルにこだわって再現されてるなぁと感じました。
一方で、ヴェスパーの墓地での爆発やサフィンの拠点で手榴弾を受けた際に、短期的に聴覚が奪われる演出がありましたが、これ自体は『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』を始めとするゲームや映画などで散見される、いわばよくある手口なので、「これを2回もやるんだ…!」と思いました。
あと、ヘンリーネックにサスペンダーだと「流石にネイサン・ドレイクすぎん…?」とも笑

続いてボンドガール!
ヒロインたるレア・セドゥを差し置いて、とにかくアナ・デ・アルマスがやばい!!!
バーでボンドと待ち合わせの初登場シーン。
「見返り美人図とはこのことかァ〜〜ンっ!!!」と叫びたくなる圧倒的美貌ッ!
もう脱帽です…笑 ずっと見ていたい。これは惚れる、やられた…。
もれなくインスタもフォローしました笑
写真家のGreg Williamsさんのこの投稿の破壊力がえぐいんだって。
https://www.instagram.com/p/CUxfCWsq1Pp/?utm_medium=copy_link

無論、妻とは明言されずとも、ボンドと人生を共にする覚悟を決めたマドレーヌも大変気高く美しかったです。流石、レア・セドゥ。

そして、今作のもう一人のヒーローが新しい007ノーミ。
彼女は決して"ボンドガール"ではなく、むしろ"ボンド"としてのキャラクターというのがとっても大きいですね。少しずつかもしれませんが、確実に時代が変わってきていることを実感します。


最後に日本について。
Twitterでは「日本が出てきてがっかりした」「残念だった」との声が散見されましたが、僕はそれは少し違うのではと思います。むしろフクナガ監督だからこそ、枯山水や畳の描写が比較的丁寧だったかなと感じました。
それと同時に、これは”諸外国の日本に対する理解の欠如”が問題なのではなく、”日本人の、世界に自分たちを正しく知ってもらおうとする努力の欠如”、ひいては”世界に進出していないからこそ、政治や芸術、文化において日本への理解を促進できていない”ことが問題なのではないでしょうか。
「自分はこんなにもすごいんだから、みんな勝手に知って、理解してくれるでしょ」ってのは少し傲慢では?
だからこそ、『007』シリーズという世界的な作品の監督を、アメリカ国籍ではありますが日系のキャリー・ジョージ・フクナガが務めた功績は大きいですね。
自らが発信して飛び込んでいかないと、世界が抱く”日本像”を変えることはできないのだと思いました。
(まぁ、認識を変えること、”現実の日本”を知ってもらうことにどれほどの価値があるのかはまた別問題ですが、誇りをもって知ってもらいたいと思える国を作っていきたいですねー。)


さて、長くなりました。
最後になりますが、これがダニエルボンドの最終作とするなら、僕はボンドの生い立ちに迫った『007 スカイフォール』が最高傑作だったかなと思います。
とはいえ『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』が名作だったことに変わりはなく。
改めて、ダニエル・クレイグに感謝と愛を。


James Bond Will Return.
KEiGO

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