このレビューはネタバレを含みます
I shall not waste my days in trying to prolong them. I shall use my time.
ボンド、北方領土で死す。
ダニエル・クレイグの007が遂に完結しました。
5部作を振り返ってみて、
①カジノロワイヤル
②慰めの報酬
で、一つの物語。
③スカイフォール
で、ボンドが過去との決別。
④スペクター
⑤ノー・タイム・トゥ・ダイ
で、ボンドが未来への遺産を残したシリーズになりました。
プロットに気になる点は沢山ありました。
バイオ兵器の開発・管理体制の杜撰さ、サフィンが遺伝子操作で作ったバイオ兵器を大量開発する動機付け、他国の領土にミサイル発射を許可できる強すぎる諜報機関のトップ。
しかし、すべてはボンドガールのマドレーヌとの間にできた娘を守る物語になってからは、どうでもよくなります。
娘を守るために地を舐めるボンド。
ここまで人間臭いジェームズ・ボンドを描いた007があったでしょうか。
アメコミヒーロー映画のシリアス系への転換がスパイダーマンやバットマンで行われて以降、誕生の秘密を描いたビギンズ系。
超人的な身体能力や技術よりも人間の能力の延長戦上で物語を描いたシリアス系。
その両方を見事に完結させたのが本作だったと思います。
ストーリー・プロット・演出としてはスカイフォールを超えていません。
しかし、ダニエル・クレイグの007として最高の締めくくりをしたと思います。
次の007は誰になるのでしょう。
ダニエル・クレイグが打ち立てた金字塔を壊すのは容易ではありませんが、次回作を楽しみに待ちたいと思います。