きゅうげん

スクリームのきゅうげんのレビュー・感想・評価

スクリーム(1996年製作の映画)
3.4
殺人鬼ホラーの雄ウェス・クレイヴン監督作。
『エルム街』シリーズでも自己言及的な作品があったように、内容的にも構造的にも、セルフパロディやオマージュネタにあふれる趣向。
情報社会直前の90‘sだからできることですね。
具体的なお約束描写・お約束展開のタスク処理から、TVで観てる『ハロウィン』の印象的な効果音が状況とシンクロする面白みまで、痒いところに手が届くホラー・ファンのための映画です。

がしかし、前半の事件の進展と登場人物紹介とがうまく噛みあっておらず、後半もみんなキャラがブレまくりなのは残念。
ゲスリポーターと意固地主人公の仲の悪さは、クライマックスのカタルシスに結びつきづらいし、真犯人たちの登場にも衝撃より困惑を覚えますし、何より先行作品の例をあげながら「サイコだろぉ〜?」って言われても……。カウンター的に“ホラー映画のサイコパス”を標榜するからには、建設的で真摯な犯人像の人物造形を目指すべきでは。
とくに「お調子者ステュ、マジでやべー奴でした」とネタバラされたところで、1mmも説得力がありません。てか、あからさまにジム・キャリーなあの演技なんなの?

ところで、ところどころの記憶が『最終絶叫計画』と混濁してました。豊胸用シリコンは幼い頃トラウマだったのですが、勿論こっちじゃありませんでしたね。
あと当時のレンタルビデオ、画質悪すぎ!