芹沢由紀子

ブラッド・スローンの芹沢由紀子のレビュー・感想・評価

ブラッド・スローン(2016年製作の映画)
3.4
アマプラで鑑賞。
実話エピソードモチーフ、極悪刑務所舞台、ベンジャミン・ブラッド出てると聞き、どうしても「ブラッドイン・ブラッドアウト」的な映画を期待してみてしまったので、なんだかガッカリした。
それでもとても面白かった。
残念ながら「ゲームオブスローンズ」は見ていないので、主人公の役者さんには何の思い入れもないのだが、美形でマッチョでかっこよかった。
チンピラ役に、ウォーキングデッドのシェン役の人が出てて、警官だったのにギャング役をしてた。
本物のチカノ俳優、ベンジャミンブラッドは老けたけどまた警官役で元気でうれしかった。

序盤から中盤はとてもつまらない。時系列がバラバラなので、すんなり入り込めないままストーリーは進んでいく。
中盤ほどからだんだん面白くなってくる。
途中まで面白くないのは、リアルを追求しすぎてドラマに頼ってない証拠なのかな?淡々としていてエンタメ作品的ではない。

さらに、刑務所ギャングの方たちが全員同じような顔面なので、誰が誰やら人間関係を把握できない(自分の集中力不足!)。
あまりムショ内の人種ヒエラルキー問題には踏み込んでいってないから、「アメリカンヒストリーX」とかのほうがぜんぜん面白い。

主人公も、「舐められたらおしまい」という恐怖心に怯えすぎて、なんの葛藤もなく殺人に手を染めていくからいまいち深みがない。
そしてエリートリーマンだったくせにケンカ強すぎ。
結局すごいビビリが、ムショではのし上がっていくという構図なのか?

ラストは、これが男の生きざまだと酔いしれるにはとても切ないし、壮絶。
なんか文句ばかり書いたけど、観れてよかった。好きではないけど、ムショ内のリアルも知れたし、出所しても再犯してムショに戻る囚人が全体の7割というアメリカの現状も理屈がわかった。
原題のタイトルは「SHOT CALLER」で、独房の中から犯罪を指図する人、すなわちギャングのボスを指す隠語らしい。
それにしてもアメリカの刑務所映画は本当にどれもこれもかっこいい。
バキとかに出てきそうなやつが本当にわんさかいるね!
芹沢由紀子

芹沢由紀子