ネタバレ
極めてユニーク。妻を覗き見愛を認識した男
これほど惹きつけられるとは予想外。
郊外に家を構えるエリート弁護士がふとしたふざけ心でガレージから妻や家族を覗き見ることに面白味を感じ、仕事もおっぽり出してついには「自宅敷地内における失踪ホームレス者」になって数か月経過。
旦那が失踪したのをいいことに妻に近づいてくる男に焦りを感じ妻と家族への愛を再認識、再び身なりを整えて「家に帰る」までが描かれる。
敷地内ホームレスとはいえ弁護士という仕事から解放された自由、伸び伸び感がこちらにも伝わってくる主演俳優の演技がツボ。
妻や娘たち、近所の住人をを覗き見てはシニカルに吐き捨てる独り言にもちょっと吹きだしてしまう。
非現実的とも言い切れず実際に起こり得そうな雰囲気が漂っていたのもポイント。
しかし、何事も度を過ぎれば揺り戻しがやってくる。
ホームレスとしての自由を謳歌した後、昔の彼氏登場に危機感を覚えたか、それともそれが戻り時と悟ったのか潔く身ぎれいにして、受け入れられるか拒否られるか不安を抱えながらも「家に戻る」というエンドも良かった。
仮に敷地外に出て本物のアウトドアホームレスを選択してしまったら、こちらも悲哀エレジーを感じないわけにはいかなかっただろうから。
妻と娘たちの反応までは描かずエンドロールとなった点も上手い処理。
これは見事にしてやられた感じ。
総評4.6の五つ星
022010
